2015年12月15日火曜日

百万円を取り返すのは容易ではない

試みに、相手方に絶対返してもらいたいという状況に直面したとしましょう。そんなときは、まず地方裁判所で裁判を起こします。勝っても、まだ相手が争ってきたら、次に高等裁判所に行きます。さらに最高裁判所まで抵抗され、それが終わるとようやく判決が確定します。

これだけの面倒なことをやればすぐにお金が返ってくるかというと、まだ返ってきません。少なくとも自動的に返ってくるようなシステムにはなっていないのです。その後、強制執行をしなければいけません。強制執行のためには、面倒な書類を書いて、その上で相手の財産を差し押さえなければいけません。

もし相手の財産がどこにあるのか分からなかったら何も差し押さえられず、判決の強制はできません。そのような問題は、昔からありました。著名な某富豪が判決に負けて「なにがしかの金を払え」と命じられた。しかし「それがどうした」と開き直った。

原告はどうしても回収できなかった。もちろん、債務者たる富豪は、銀行口座にたくさんの預金を持っていた。しかし、どこの銀行の何支店に持っているかということが分がらなければ、たとえ裁判で苦労の末に勝訴判決を得ても、ビター文、回収できないのが現実です。

税務署のような国家権力ならば、ある程度は情報があるようです。しかし、普通の人にはそういう情報はありません。またそういう場合に、普通の人が、債務者の財産のありかに関する情報を税務署に教えてもらおうと思っても、税務署は教えてくれません。

税務署は、自分たちがお金を回収するときのためだけに情報を独占していて、普通の人がどんなに気の毒な状態でも、まずほとんど助けてくれないでしょう。それは税務署が悪いのではなく、情報の開示を税務署がやってもいいという法律はないために、そういうことはやりたくてもやれないのです。