2016年2月15日月曜日

日本の医療行政

日本の医療行政は誰にでも医療が提供できる体制をつくることに最大限の努力を傾けてきました。日本ほど誰もがどんな病院や医師にもかかることのできる国は少ないのです。乳児死亡率は世界でも最低のレベルに達しています。平均寿命も世界で一、二を争っています。このことは医療関係者の努力として正当に評価すべきでしょう。これはいわば医療の量を確保したことによる成果であり、今後は医療の質が問われる時代になりました。

わが国の医療提供体制は、諸外国と比較しても相当なレベルに達しています。町の診療所から、大学病院までさまざまな種類、規模の医療施設が整備されており、都市部では比較的容易に、しかも病院を選択して診療にかかれるようになっています。一九六一年、自営業者等にも国民健康保険が強制適用となり、国民皆保険が実現されました。医療施設の経営基盤もしっかりしたものになり、医療施設は大量に増加しました。今日では医療費の高騰が大きな問題となり、入院ベッド数の削減や大学医学部の入学定員の削減が行われて
います。

わが国の医療提供体制は、医療法、医師法、歯科医師法、薬剤師法などで規定されています。医師又は歯科医師は都道府県知事に届出をすれば、自由に診療所を開設することができます。これを自由開業制といいます。

一方、国民のほうも自由に医療機関を選択して、診療を受けることができます。これをフリーアクセスといいます。誰もが自由に医療機関を選択できる仕組みはすばらしいものです。外国では、登録医(家庭医)制度といって、あらかじめ決められた医者の診察を受けたうえでなければ、他の医療機関を受診できないところもあります。

自由開業制を一部制限する医療計画というものがあります。医療計画は、多様化、高度化する国民の医療需要に対応して、地域の体系的な医療供給体制の整備を促進するために、医療資源の効率的活用、医療施設相互の機能連携の確保等を目的として制度化されています。都道府県単位の三次医療圏といくつかの広域地域をまとめた二次医療圏があります。