日本の金融機関は、このような外資の席巻するところとなるのだろうか。海外の金融再編成の過程を観察していると、有力な金融機関に共通するパターンは、まず比較優位の分野を伸ばすことに専念し、得意分野で確固たる地盤を築き了えると、今度は相互補完をねらった規模の拡大を目指して活発な買収や提携に乗り出す、というものである。日本のビッグバンの進行と歩調を合わせた数々の提携は、その余勢をがっての日本市場への参入であることはいうまでも
ない。
また、日本側の事情は明白であろう。これまでの護送船団方式の金融行政下で、横並びの経営を行い、先端金融技術や資産運用能力の開発に遅れをとり、不良債権処理の重荷で今後の戦略を独自に描けない本邦金融機関は、外資との提携に活路を見出そうとしているのである。外資にとって、本邦金融機関のもつ顧客リストは魅力であり、自分たちの商品・サービスをそのネットワークを通じて広範な顧客層に販売できれば、過重な投資負担を免れることができる。本邦金融機関は、売り子をしながらノウハウを手に入れようとする。
一方で、信用補強のために外資と組もうとする本邦金融機関もある。日本債券信用銀行とバンカーズートラストの業務提携や、日本長期信用銀行とスイス銀行の提携がこれである。外資の行動のケースースタディとして、後者の提携をとりあげてみよう。
スイス銀行と日本長期信用銀行の提携は、スイス銀行の信用を利用して起死回生をはかろうとした長銀と、その金融債消化先など顧客リストに魅力を感じたスイス銀行の思惑によって成立したものといわれた。その内容は三%ずつの株の持ち合い、スイス銀行による長銀の劣後債七〇〇億円、優先株一三〇〇億円の引受、それに投資銀行、投資顧問、プライペートーバンクの分野での合弁会社の設立というものであった。
ところが、スイス銀行は長銀の資産を詳細に調査した後、慎重なスタンスに変わり、優先株引受を繰り延べ、持ち合い比率も一%に切り下げた。しかも、実際に買い入れたのは、株価急落後というタイミングのよさである。
2015年8月20日木曜日
異常な低金利の副作用
バブルとはひと言で言えば日本経済の資産価値の急激な膨張である。資産の主なものは土地であり、株である。一九八〇年代中盤に金利が極端な低水準に据え置かれたことが、土地と株の価格を引上げる直接の契機になった。土地の価値は、理論的に言えば、その土地を活用して生まれる将来収益の現在価値であると言える。
現在価値とは将来生まれる収益の総計を市場金利で割引いたものである。つまり収益は遠い将来になるほど本当に入手できるかどうか不確実性が高まるからリスクが大きい。金利とはリスクの代償だから、金利で総収益を割引いたものが現時点で見たほぼ確実な収益になるわけである。それが土地の理論的な価値であるとすると、当然割引く金利が安くなれば土地の理論的価値は高く見積もられる事になる。
株の場合も同様に金利が下れば債券の現在価値が高まるから、それと連動して株の価値も高く評価されるようになるのである。一九八〇年代中盤に金利が異常に低く引き下げられたのにはいくつかの特殊な理由があった。ひとつは一九八〇年代前半までっづいたアメリ々の高金利の是正にともなって、日本も金利の引下げを余儀なくされたことであり、またいまひとつは一九八〇年代中盤の円高不況脱却の手段として財政政策よりも金融政策に大きく負担がかけられたことである。とくに後者については、政府が財政再建に大きな力点を置いていたために、過度に金融政策に負担がかかり、極端な低金利がしばらくっづけられる結果となった。
いずれにしてもこうした異常な低金利がつづいた結果、土地や株の価値が急激に膨張し、それが投機を呼んで、さらに資産価値が膨張するというバブル経済の異常なスパイラル現象が発生した。企業は急速な株価の上昇期待の下で、いわゆるエクイティーファイナンスによる資金調達を積極的に行うようになった。
新株や転換社債を発行して資金を調達するわけだが、しばらくするとその市場価値は非常に高まるから、投資家はそれを売れば莫大な儲けになり企業側は資金調達コストが殆んどかからないという特殊な状況が発生しており、多くの大企業が争ってそうした戦略を拡大したのである。そうして調達した莫大な資金はさまざまな用途に投資され、いわゆる土地テク、財テクを進めた企業や人々も多かった。つまり、上昇をつづける地価や株価をあてこんで、これに投機をして儲けようとしたのである。
現在価値とは将来生まれる収益の総計を市場金利で割引いたものである。つまり収益は遠い将来になるほど本当に入手できるかどうか不確実性が高まるからリスクが大きい。金利とはリスクの代償だから、金利で総収益を割引いたものが現時点で見たほぼ確実な収益になるわけである。それが土地の理論的な価値であるとすると、当然割引く金利が安くなれば土地の理論的価値は高く見積もられる事になる。
株の場合も同様に金利が下れば債券の現在価値が高まるから、それと連動して株の価値も高く評価されるようになるのである。一九八〇年代中盤に金利が異常に低く引き下げられたのにはいくつかの特殊な理由があった。ひとつは一九八〇年代前半までっづいたアメリ々の高金利の是正にともなって、日本も金利の引下げを余儀なくされたことであり、またいまひとつは一九八〇年代中盤の円高不況脱却の手段として財政政策よりも金融政策に大きく負担がかけられたことである。とくに後者については、政府が財政再建に大きな力点を置いていたために、過度に金融政策に負担がかかり、極端な低金利がしばらくっづけられる結果となった。
いずれにしてもこうした異常な低金利がつづいた結果、土地や株の価値が急激に膨張し、それが投機を呼んで、さらに資産価値が膨張するというバブル経済の異常なスパイラル現象が発生した。企業は急速な株価の上昇期待の下で、いわゆるエクイティーファイナンスによる資金調達を積極的に行うようになった。
新株や転換社債を発行して資金を調達するわけだが、しばらくするとその市場価値は非常に高まるから、投資家はそれを売れば莫大な儲けになり企業側は資金調達コストが殆んどかからないという特殊な状況が発生しており、多くの大企業が争ってそうした戦略を拡大したのである。そうして調達した莫大な資金はさまざまな用途に投資され、いわゆる土地テク、財テクを進めた企業や人々も多かった。つまり、上昇をつづける地価や株価をあてこんで、これに投機をして儲けようとしたのである。
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