2014年7月10日木曜日

社会保障制度の新しい理念

今後の経済財政運営の基本方針となるべきものと言われています。「自助と自律」の精神を基本として、民間部門で実現可能な機能はそこに委ね、公的制度と補完性、競介性を合わせもった総合的な保障システムによって国民生活の安定を実現していくことを提唱しています。そして個人レベルで社会保障の給付と負担が分かるように情報提供を行う仕組みとしての「社会保障個人勘定(仮称)」システムの構築や「医療サービス効率化プログラム(仮称)」の策定を打ち出しています。

この二つの提言方針は、市場原理を重視し、公的関与を減らして小さな政府をめざすという方向で同一の流れの中にあります。もう一つの流れは、社会の安定と安心を確保する社会保障の役割を重視し、現行の社会保険方式を中心にした制度を維持しつつ、制度内の効率性を高めていく方向です。

その一つは総理府社会保障制度審議会の「社会保障体制の再構築に関する勧告、安心して暮らせる二十一世紀の社会保障を目指して」です。四年ほどかけて専門家が議論し、広く国民の意見を聞いたうえで作成し総理大臣に勧告したものです。総合的・体系的に社会保障全体を網羅して、新しい社会保障の理念、基本的な改革の方向を打ち出しています。公的介護保険や措置制度の改革などすでに実行に移されているものもあります。

「社会保障制度の新しい理念とは、広く国民に健やかで安心できる生活を保障することである」として普遍的な社会保障の新たな在り方を追求すべきことを説き、社会保険が今後ともわが国社会保障制度の中核としての位置を占めていかなければならない、としています。また、「若い世代は、高齢者の増加による負担の増大について心配している。したがって、社会保障制度が何についてどこまで保障するかを明確にし、それについて国民が十分理解することは極めて重要である」と述べ、若い世代の不安解消のため、社会保障の役割を明確化することの重要性を指摘しています。