2012年4月19日木曜日

憲法判断の背景

自民党の新憲法起草委員会「司法小委員会」の初会合が7日開かれ、憲法裁判所を巡る議論がスタートした。司法分野では知的財産高等裁判所の創設、裁判員制度の導入など制度改正が相次いでいる。憲法裁判所も日の目を見るのだろうか。

具体的な紛争がなくても、法律などが憲法に合っているかどうかを判断するのが憲法裁判所。導入するには、憲法改正が必要というのが最高裁判例や学界の通説で、10年ほど前にも学者や読売新聞などが改憲による創設を提言している。

先月20日には、中曽根康弘元首相が会長を務める世界平和研究所が(1)最高裁とは別の組織として憲法裁判所を創設する(2)その裁判官は国会と首相が半数ずつ任命するなどを盛り込んだ憲法改正試案を公表した。

憲法裁判所は自民党憲法調査会が昨年11月に起案した改正草案の「大綱原案」にも創設が明記された。調査会の議論では「司法によるチェックがもっとあってしかるべきだいう意見が大勢を占めていた」と調査会長の保岡興治・元法相。憲法判断に対する最高裁の消極姿勢への反発と、安全保障問題などで内閣法制局に憲法解釈を委ねてきた反省からだという。

憲法判断の背景には最高裁判事の「顔ぶれ」が原因との見方もある。ただ、保岡氏は「法律家はそもそも謙抑的。そのうえ裁判官は山積みの案件処理に忙しく、じっくり憲法判断に取り組む余裕がないからではないか」と創設の必要性を説明する。

大綱原案は憲法裁判所の裁判官人事について、国会、最高裁、内閣の3者がそれぞれ推薦する形を提案。一方で、国会を「国権の最高機関」と位置付ける現行憲法の規定は、そもそも「政治的美称」との立場などから削除している。