2012年4月18日水曜日

人員の派遣を求めることが多い

販売に回復の兆しが出ている自動車メーカーに、関連会社や他業種のメーカーの正社員を一時的に生産要員として受け入れる動きが出ている。

派遣する側も、人員余剰の中で雇用を守ることができる利点がある。自動車メーカーは「派遣切り」と批判を受けた教訓から非正規社員の採用に慎重で、正社員を融通し合う仕組みが人員確保策として広がる可能性がある。

期間雇用は慎重

トヨタ自動車は、環境対応車(エコカー)への買い替え支援策などで受注が好調なハイブリッド車(HV)「プリウス」を増産するため、堤工場(愛知県豊田市)などで6月以降、関連部品メーカーなど約40社から800人強の応援要員を受け入れている。さらに、HV用電池を生産するパナソニックとの合弁工場(静岡県湖西市)では7月から、二輪車大手、ヤマハ発動機の正社員230人を受け入れた。

日産自動車も7月以降、いすゞ自動車、川崎重工業、ヤマハ発動機など資本関係のないグループ外の企業から計数百人規模の正社員を3~7か月の期間で受け入れ、小型車を生産する追浜工場(神奈川県横須賀市)などに振り向けている。

従来、生産を増やす際、期間従業員を雇うケースが多かった。しかし、世界的な販売不振で昨年秋以降、大幅な人員削減を強いられた結果、期間従業員や派遣社員の契約打ち切りへの批判が高まった。非正規社員の雇用は増やしたくないのが本音だ。

さらに、人員の派遣を求めることが多い系列の下請けメーカーにも、政府の支援策を受けた自動車の増産基調の中で、人手不足感が出ている。そのため、不振が続くトラックや二輪車など乗用車以外のメーカーが抱える人員にも救いを求めているようだ。